医療機器の精密部品向け洗浄機

「医療機器」には、例えばCTやレントゲンなどの診断系装置や、メス・鉗子などの手術器具、さらには身近な体温計や血圧計なども含まれます。さらには身体の機能や構造に影響する、インプラントや義足なども含まれます。そんな医療機器の精密部品向け洗浄機について、各種の知識をご紹介します。

医療機器の製造工程で求められる精密部品洗浄機とは？

医療機器の洗浄は、厳格な管理が不可欠

医療機器の洗浄は、「感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律」にて、医療現場での洗浄に関して厳格に規定がなされています。絶対に人体への悪影響があってはならないゆえに、製造工程においても、厳格な洗浄管理が求められます。

インプラントや義足なども、実は医療機器

身体に装着して機能を発揮したり、構造を整える人工物であるインプラントや義足なども法律的には医療機器であると定義されています。ですので、これらの器具も製造工程において厳格に洗浄を実施することが求められます。

医療機器の製造工程で除去すべき対象物とは？

パーティクル（塵）

CTやデジタル式の心電図、血圧計など、基盤や電子回路を用いる医療機器の製造は、クリーンルームで行われるのが一般的ですが、そうした環境下でもある程度のパーティクル（塵）が漂ってしまうのは避けられません。誤作動や故障を回避するためにも、パーティクル（塵）を確実に除去する洗浄機が求められます。

金属（切粉など）

メスや鉗子などの外科手術に用いる機具を筆頭に、インプラントや義足、人工関節など金属を切削加工して製造される医療器具は、切粉などが表面に残ったまま使用されてしまうと、人体に悪影響をもたらすリスクが増大してしまいます。細かな切粉などを確実に除去できる洗浄機が不可欠です。

体液

製造工程ではなく、病院や診療所など医療の現場で求められる洗浄能力といえます。例えば内視鏡の場合、唾液や胃液、血液などの体液が診療を通じてほぼ確実に付着してしまいます。そのまま次の患者の診療に用いることは厳禁です。確実に洗浄を行い、それらの体液を除去できる洗浄機が、医療現場で求められています。

細菌・ばい菌

医療現場でより重要となる洗浄対象ですが、製造工程においてもないがしろにはできません。殺菌・滅菌という処理は医療機器自体に変形やトラブルなどが起きない限り、いくらやり過ぎても構わないといってよいのではないでしょうか。

医療機器の製造工程に用いられる精密部品洗浄機

2023年10月25日時点で、「精密部品洗浄　医療」のキーワードで検索して上位ヒットした精密部品洗浄機を3種類ご紹介します。

真空超音波洗浄機

超音波を用いた精密洗浄を行う機器です。機種にもよりますが、一般的には超音波による溶剤を用いた洗浄→蒸気による洗浄→真空での乾燥という過程を1槽で行う方式が主流です。溶剤には、臭素系溶剤、フッ素系溶剤、塩素系溶剤などが用いられます。

真空超音波洗浄機の一例

引用元：サクラ精機株式会社公式ホームページ
https://www.sakurajp.com/products/product01.php?id=industry14

ジェットウォッシャー超音波洗浄装置

主に医療現場にて、外科手術や診療に用いられた医療機器を洗浄するという目的で使用されるケースが多く見受けられます。
洗浄剤を用いたジェット洗浄を行い、続いて超音波での精密洗浄の後、再びジェット水流ですすぎを行い、高温除染、乾燥というプロセスをふみます。

ジェットウォッシャー超音波洗浄装置の一例

引用元：シャープ公式ホームページ
https://jp.sharp/business/medical-cleaning-systems/

超音波浴装置

主に歯科治療を行うクリニックや小規模な医療施設、研究機関など向けに造られた、横幅数十センチ程度のコンパクトサイズの洗浄装置です。治療や診療などに用いた手のひらサイズ程度の医療機器を、超音波による水流で洗浄します。洗浄液が表面に接触していればどこでも洗浄できるため、複雑な医療器具も分解せずに洗浄できるのが大きなメリットです。

超音波浴装置の一例

引用元：Medical EXPO日本語ホームページ
https://www.medicalexpo.com/ja/prod/smeg-instruments/product-70113-1130828.html