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アルカリ系洗浄剤の特徴と部品洗浄への活用

アルカリ系洗浄剤はpH値が高く、酸性の汚れに対して特に優れた洗浄力を持つ洗剤の一種です。酸性の汚れである油脂やタンパク質汚れに反応し、効率的に分解する性質があります。工場や製造現場では、機械や部品に付着する頑固なグリスや油汚れを除去するために使われることが多く、家庭用としてもキッチン周りやバスルームのしつこい汚れ対策に活用されています。

工業用のアルカリ系洗浄剤は、通常の洗剤では対応が難しいような重度の油汚れや、金属加工後の残留物除去に効果的です。また、特定の種類のアルカリ洗浄剤は環境に配慮した成分で構成されているものもあり、安全性と効率を両立させた製品も増えてきています。

アルカリ系洗浄剤のメリット

アルカリ系洗浄剤は、酸性の汚れに強力な効果を発揮し、特に油汚れやタンパク質汚れを効率的に分解します。そのため、工場や製造現場での機械設備や金属部品の清掃に広く使用されています。ここでは、アルカリ系洗浄剤の具体的なメリットを説明します。

コスト削減が期待できる

アルカリ系洗浄剤は少量で高い洗浄力を発揮するため、使用量を抑えられ、結果としてコストの削減が可能です。特に、工場や大規模な製造ラインでは洗浄剤の消費量が多くなる傾向がありますが、アルカリ系洗浄剤を使用することで洗浄頻度や使用量を効率化でき、コストパフォーマンスが向上します。

さらに、洗浄力が強いため、複数回の洗浄工程を省くことができる場合も多く、一度の洗浄で十分な効果を得られることがコスト削減の要因となります。

リンや窒素を含まない成分

アルカリ系洗浄剤の中には、環境への配慮がなされた製品が多くあります。特に、リンや窒素を含まない洗浄剤は排水処理の際に環境への負荷が少なく、工場や製造現場においても環境規制に適合した使用が可能です。

この点は、排水処理にかかるコストや手間を軽減するだけでなく、持続可能な製造プロセスに貢献するという点で、企業の環境意識を高めるための重要な要素です。環境基準が厳しくなる昨今、エコフレンドリーな製品を導入することは、社会的な評価を得ることにもつながります。

安全性に優れた配合

アルカリ系洗浄剤には有毒成分を含まない安全な設計のものが多く、作業者の健康に配慮されています。従来、強力な洗浄剤は有害な成分を含むことが多く、作業者が長時間にわたって使用する場合、皮膚や呼吸器に悪影響を与えるリスクがありました。

しかし、最新のアルカリ系洗浄剤では人体に対する影響を最小限に抑えた成分が採用されているため、作業者が安心して使用できる環境が整います。揮発性の低い成分や手肌への刺激を減らす配合により、工場や製造現場での安全対策にも寄与します。また、マスクや手袋といった保護具を併用することで、より安全な作業環境を確保することが可能です。

アルカリ系洗浄剤のデメリット

アルカリ系洗浄剤は強力な洗浄力を持つ一方で、使用に際していくつかのデメリットや注意点もあります。特に、特定の材料や環境に影響を与える可能性があるため、適切な使用方法を理解しておくことが重要です。

特定の金属に影響を与える腐食性

アルカリ成分の強い洗浄剤は、特定の金属、特にアルミや亜鉛などの金属に対して腐食を引き起こすリスクがあります。これにより、洗浄後に金属表面に変色やダメージが生じる可能性があり、金属部品の性能や外観に悪影響を与えることがあります。

そのため、こうした金属を扱う場合は、専用の「アルミ対応型」や「低腐食型」のアルカリ系洗浄剤を選ぶことが推奨されます。部品や装置の劣化を防ぎつつ、十分な洗浄効果を得ることができます。

廃水処理の手間とコスト

アルカリ系洗浄剤は高い洗浄力を発揮するため、洗浄後の廃水はそのまま排水することが難しい場合があります。特に、強アルカリ性の洗浄剤を使用した場合はpH値が高くなり、環境基準に適合するためには、中和処理が必要となります。廃水処理を怠ると環境への影響が大きくなるため、企業にとっては法規制に従った適切な処理が求められます。

中和処理には追加のコストや設備が必要となることが多く、長期的には運用コストに影響を与える可能性があります。排水処理のプロセスを適切に管理し、コスト削減を図るためには、希釈や適切な廃液処理システムの導入が欠かせません。

肌や体への影響も懸念がある

強いアルカリ性を持つ洗浄剤は、肌に直接触れると炎症やかぶれを引き起こすことがあります。作業者がアルカリ系洗浄剤を長時間使用したり、保護具なしで扱ったりした場合、皮膚や呼吸器への刺激が問題になることも少なくありません。

これを防ぐためには、洗浄作業時には必ず保護手袋やゴーグル、マスクなどの適切な保護具を着用することが推奨されます。また、万が一皮膚に付着した場合には、すぐに水で洗い流すといった安全対策を徹底する必要があります。

部品洗浄での具体的な使用例

工業用部品の洗浄において、アルカリ系洗浄剤は特に油汚れや加工後の残留物を効率的に除去するために活躍します。強力な洗浄効果が必要な鉄やステンレス製の部品には、特に強アルカリ性の洗浄剤が多く用いられます。以下に、具体的な洗浄プロセスや方法について説明します。

グリスや工業油の除去

鉄やステンレスなどの部品には、製造過程で使用されるグリスや工業油が多く付着します。こうした油汚れは酸性の洗剤では落ちにくい場合が多く、強アルカリ性の洗浄剤が最適です。アルカリ成分が油分と反応し、汚れを分解して浮き上がらせるため、短時間で効率的に除去が可能です。

具体的なプロセスとしては、まず洗浄剤を適切に希釈し、汚れた部品にスプレーや浸漬の方法で塗布します。次に、一定時間放置して汚れが浮き上がるのを待ち、最終的にブラシや高圧水で汚れを洗い流す手順が一般的です。

鉄製品の錆止め処理

アルカリ系洗浄剤は、鉄製品に付着した油汚れや酸化物の除去だけでなく、錆止め効果も期待できます。鉄部品は製造後に錆びやすい傾向がありますが、アルカリ洗浄によって表面をクリーンな状態に保つことで、錆の発生を抑制することができます。

この場合、洗浄工程の後に防錆処理を行うことが一般的です。部品を洗浄した後、乾燥工程に移行し、防錆剤を適用することで製品の耐久性を高めることが可能です。

ステンレス部品の精密洗浄

ステンレス部品は特に高精度な洗浄が求められることが多く、微細な汚れや加工後の微粒子をしっかり取り除く必要があります。アルカリ系洗浄剤はステンレス表面に付着した脂肪酸や加工油を分解し、部品の性能や美観を維持します。

洗浄プロセスでは、浸漬法やピッチ送り式搬送で洗浄剤を循環させ、ステンレス部品の隅々までしっかりと洗浄を行います。洗浄後、脱水や乾燥工程に進むことで、部品に不要な水分が残らないよう徹底管理します。

部品洗浄の自動化

近年、工業用部品洗浄の分野では、洗浄工程の自動化が進んでいます。コンベアや自動搬送システムを使って部品を搬送しながら、上から洗浄剤をスプレーすることで、連続的かつ効率的な洗浄が実現します。この場合、洗浄剤の噴射角度や部品の搬送速度、乾燥工程までのタイミングなどが自動制御され、精度の高い洗浄が可能となります。

自動化により人手を介さず高精度な洗浄を行うことで、作業効率の向上だけでなく、作業者の負担軽減や安全性の確保にもつながります。

洗浄装置とシステムの選び方

工業用部品や設備を効率よく洗浄するためには、使用する洗浄装置やシステムの選択が重要です。特にアルカリ系洗浄剤を使用する場合、洗浄装置との相性が洗浄効果を左右します。適切な洗浄システムを選ぶことで、効率的かつ精度の高い洗浄が可能になります。以下、アルカリ系洗浄剤に適した装置とその特徴について説明します。

シャワー式洗浄機

シャワー式洗浄機は、液体を上からスプレーすることで部品表面の汚れを落とすタイプの装置です。アルカリ系洗浄剤をこの方式で使用する際には、低発泡性の洗浄剤と組み合わせることが推奨されます。発泡が少ないことで、部品全体に洗浄剤が均一に行き渡り、洗浄効率を高めることができます。

シャワー式洗浄機の強みは、連続的に部品を搬送しながら洗浄を行える点です。コンベアシステムと組み合わせて使用することで、短時間で大量の部品を処理することが可能です。これは、ライン生産において優れたパフォーマンスを発揮し、工場内の効率を高める要因になります。

浸漬式洗浄機

浸漬式洗浄機は、洗浄対象の部品を洗浄液に完全に浸して汚れを落とす方式です。アルカリ系洗浄剤を用いる場合、この浸漬式洗浄機は部品の細部や複雑な形状の部分に対しても強力な洗浄効果を発揮します。部品全体を液体に沈めるため、シャワー式では届きにくい場所にも均一に洗浄剤を行き渡らせることが可能です。

また、特に複雑な形状の部品や、洗浄剤がしっかり浸透する必要がある部品には、この方法が適しています。浸漬後に振動や攪拌機能を加えることで、より強力な洗浄効果を得ることができるため、頑固な汚れや大量の部品洗浄にも対応できます。

部品の材質に応じたシステム選択が重要

洗浄装置を選ぶ際に重要なのは、処理する部品の材質や、汚れの種類に応じたシステムを選択することです。たとえば、アルミニウムや銅など腐食しやすい金属に対しては、アルカリ性が強すぎると部品が傷つく恐れがあります。こうした金属を扱う場合には、腐食防止剤を配合したアルカリ系洗浄剤を選択するか、洗浄時間を調整して過剰な作用を防ぐ必要があります。

また、プラスチックやゴムといったデリケートな材質の場合は、洗浄装置の温度設定や洗浄剤の濃度を細かく管理し、部品にダメージを与えないようにすることが重要です。自動制御システムを備えた装置を選ぶことで、これらの条件を正確に管理し、安全かつ効率的な洗浄を実現できます。

金属部品洗浄におけるアルカリ洗浄剤の注意点

アルカリ洗浄剤は金属部品の洗浄に広く使われますが、金属の種類によっては適切な使用方法を考慮する必要があります。特に、腐食しやすい金属に対しては慎重な取り扱いが求められます。

アルミニウムなどの取り扱い

アルミニウムや亜鉛などの金属は、アルカリ成分に対して非常に敏感であり、アルカリ洗浄剤を使用すると腐食や変色が発生する可能性があります。アルカリの強い洗浄剤は金属表面を侵食し、製品の性能や外観を損なうリスクがあるため、これらの金属には、専用のアルミ対応型アルカリ洗浄剤を選ぶことが必須です。

また、洗浄剤の濃度や使用時間を厳密に管理することで、金属表面のダメージを抑えることが可能です。アルミニウムや亜鉛を洗浄する場合には、事前にテストを行い、最適な条件で使用することが推奨されます。

pHを適切に管理する

工場設備や部品の洗浄プロセスにおいては、洗浄剤のpH値を適切に管理することが重要です。特に、アルカリ性の強い洗浄剤を使用した場合、洗浄後に残る廃水のpHが環境基準を超える可能性があります。環境基準に適合しない排水はそのまま流すことができず、適切な中和処理を行う必要があります。

中和処理を行う際には、酸性剤を用いてpH値を調整し、適切な範囲に収めることで廃水の安全な処理が可能になります。定期的にpH値を測定し、基準値内に収まっているかどうかを確認することが、環境保護の観点からも欠かせない対策です。

まとめ

アルカリ系洗浄剤は、工業用金属部品の洗浄において非常に有効ですが、金属の種類や使用環境に応じた適切な対応が必要です。特に、アルミニウムなどの腐食しやすい金属に対しては専用の洗浄剤を使用し、pH管理や廃水処理を徹底することが重要です。今後も環境に配慮した製品や、特定の金属に対応したタイプのアルカリ系洗浄剤の需要は高まると予想されており、これらを適切に活用することで、品質の高い洗浄と環境保護の両立が期待されます。

自動車・半導体・医療機器
特殊な素材や形に適した洗浄ができる
精密部品洗浄機3選

▼左右にスクロールできます▼

自動車部品の洗浄なら
金属脱脂に対応した洗浄機

VORTENRYU
(平出精密)

VORTENRYUインラインスパイラル洗浄機

引用元:平出精密公式HP(https://www.hiraide.co.jp/vortenryu/index.html)

半導体部品の洗浄なら
フラックス残渣に対応した洗浄機

電子基板用自動5槽式超音波洗浄装置
(北村製作所)

電子基板用自動5槽式超音波洗浄装置

引用元:北村製作所公式HP(https://www.kitamurass.co.jp/seihin/sangyosenjosochi/choompasenjoki/automatic_fivetanktype_cleanmachine/)

医療機器部品の洗浄なら
衛生面に優れた洗浄機

揺動2槽式超音波+シャワー洗浄装置
(日本アレックス)

揺動2槽式超音波+シャワー洗浄装置

引用元:日本アレックス公式HP(https://www.nalex.co.jp/products/cleaner/apparatus/usandshower/)

特徴
  • 自動車金属部品の脱脂洗浄の実績が多数
  • 洗浄スピード「1個/約2秒」前工程の洗浄にも対応できる
  • 5槽の超音波洗浄を経て、フラックス残渣を徹底除去
  • 準水系、水溶系、フッ素系といった洗浄剤を組み合わせ、様々な半導体部品の条件に対応が可能
  • 超音波洗浄、シャワー洗浄の二段階洗浄
  • ポンプ/フィルターにより常時液循環でクリーンな槽内を維持
対象の
部品サイズ
  • 5㎜x5㎜~90㎜x90㎜

記載なし

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対象部品
  • プレス部品
  • 鍛造部品
  • 切削部品

記載なし

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使用する洗浄剤
  • 水(洗浄剤不要)
  • 準水系洗浄剤
  • 水溶性洗浄剤
  • フッ素系溶剤

記載なし

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