世界規模の取り組みである「持続可能な開発目標(SDGs)」は、日本国内でも非常に注目を集めており、ものづくりに携わる企業は環境に配慮するためのさまざまな取り組みを行っています。
精密部品の製造工程に欠かせない洗浄作業も例外ではありません。
精密部品洗浄機メーカーの中には、洗浄力や洗浄スピードなどの性能を高めるだけでなく、環境にやさしい洗浄液を使った洗浄を可能にするなど、環境負荷の低減にも力を入れている企業があります。
持続可能な社会を目指すために、これからの精密部品洗浄機は環境性能にも注目して選ぶべきです。
精密部品の製造工場では、切削などで用いた加工油を洗浄する工程があります。有機溶剤を用いて洗浄している工場が一般的ですが、中間洗浄に求められる洗浄力を保持しつつ、より環境に配慮した洗浄機を製造する企業も登場しています。
水だけで加工油などの脱脂洗浄ができる独自の洗浄技術を開発しているのが、長野県に本社を置く平出精密です。
平出精密は、水だけで脱脂洗浄できるドラム式の精密部品洗浄機「VORTENRYU(ボルテンリュウ)」シリーズを製造販売しています。
独自の洗浄技術「トリプルウォッシュ」を用いることで、水だけで十分な洗浄性能を発揮する洗浄機で、プレス部品や切削・鍛造部品、ゴム部品など幅広い精密部品の脱脂洗浄に対応しています。
溶剤を使わないため排水などの環境負荷を低減することができ、ランニングコスト削減や働く人の環境改善にも寄与することができます。
水だけで脱脂洗浄できるドラム式の精密部品洗浄機「VORTENRYU(ボルテンリュウ)」シリーズの洗浄技術について調べました。
VORTENRYUがスピーディーかつ高い洗浄力を発揮できるのは、自社のオリジナル技術「トリプルウォッシュ」があるからです。これは日本国内特許だけでなく、米国や欧州、中国をはじめとするアジア各国での国際特許も取得しています。※
VORTENRYUの洗浄ドラムはセンターに特殊な洗浄ノズルが配置されていて、ワークに対するシャワー洗浄を行います。
シャワーの水圧を利用して、ワークの付着物を除去するとともに、ドラムが回転することでワークの向きも変わるため、満遍なくシャワーを浴びせることができるわけです。
VORTENRYUの洗浄ドラムによる浸漬・揺動洗浄は、家庭用のドラム式洗濯機の「洗う」動作に通じるもの。
横置きの洗浄ドラムにはワークが十分浸る程度の水が注がれ、ドラムが回転することによって付着物の除去をします。
ドラム式は節水性や洗浄性に優れるというのも、こうした揺動制御という仕組みと深く関係するものです。
VORTENRYUの3つめとなる洗浄方法は、ドラム周縁部の一部に設けた排水部から水を排出することによる流水洗浄です。
シャワー洗浄や浸漬・揺動洗浄によってワークから除去した付着物が漂う水の中で撹拌を続けるわけではなく、ドラムが1回転する中で、3つの洗浄方法を繰り返し行うことで、十分な洗浄力が得られるわけです。
VORTENRYUはゴム部品の洗浄にも適しています。
トリプルウォッシュ技術により有機溶剤を使わずに水だけで洗浄できるため、洗浄後の品質変化などが起きにくいという利点があります。
ゴム部品の離型剤の洗浄やコンタミの除去に高い効果を発揮します。
VORTENRYUはインラインスパイラル洗浄機であり、精密部品製造工場の複数ある工程中、加工の前後に組み入れることでワークフロー全般の省人化にも大いに役立つ機種。
こまめな洗浄を行っても人的負荷が増えないのもメリットといえます。
VORTENRYUのドラムは洗浄用のトリプルウォッシュ水洗ドラムと乾燥ドラム、それぞれが別に設置されていて、ワークはスパイラル搬送される仕組みになっています。
ワークの投入口や払出し口及び周辺機器はカスタマイズできるため、VORTENRYUを導入することにより洗浄・乾燥といった工程全体を全自動化することも可能です。
洗浄工程で従来型のバッチ式洗浄機を使っている精密部品製造工場は、どうしても作業スタッフの手作業が必要となります。
それに対して、インラインで自動化できるVORTENRYUを洗浄工程に組み込むことで省人化が可能となり、事業の生産性向上にも寄与するでしょう。
精密部品製造工場におけるSDGs対応という観点から、VORTENRYUという機種が人に優しい設計になっていることにも触れておきましょう。
高い洗浄性能と持続可能性の向上を両立させている点も、VORTENRYUの革新性でもあるわけです。
トリプルウォッシュを採用しているVORTENRYUの精密部品洗浄は、水だけで高い洗浄力を発揮できるのが注目ポイント。
加工工程が多くなれば、それだけ洗浄回数も増えるので、溶剤を使う洗浄機だと現場スタッフの健康リスク要因になりかねません。
その点、溶剤を使わず、全自動化もできる洗浄機であるVORTENRYUは「人に優しい洗浄機」といえます。
洗浄工程を全自動化できるVORTENRYUは、使い勝手の良さも特徴のひとつ。
高さが1.34mとコンパクトな設計になっているため、スタッフが視認性を確保しやすく、安全に配慮しやすい環境づくりが可能になります。
操作はタッチパネル式で直感的にできますし、メンテナンスがしやすく、キャスターとハンドルが付きで移動もしやすいなど、製造現場の使い勝手を考えて設計されています。
精密部品洗浄機VORTENRYU(ボルテンリュウ)シリーズを製造する平出精密は、1964年に創業した精密板金メーカー。
洗浄機事業だけでなく、自社で医療関連部品も手掛け、高精度・高速化を追求しつつIT化やCNC化にも注力している技術者集団です。
培った技術は製品開発に活かすだけでなく、社会貢献や取引先・スタッフ・地域の発展にもつなげることをミッションに掲げています。
平出精密は経営者が先頭に立って、地球環境への配慮を掲げるものづくり企業。
公式HPに掲載されている「社長からのメッセージ」にその想いが綴られているので、一部を以下に引用します。
「今、ものづくりに携わる人々はすべて、人間の便利さだけを目的にするのではなく、それぞれの住む地域のことだけを考えるのではなく、地球全体を考え、地球環境にも十分配慮されたものづくりをしなくてはいけません。」
自社の独自技術やアイディアによって生まれた製品をものづくりの現場に届け、事業の成長と社会貢献の両面を追求する企業であることが伝わるメッセージといえるでしょう。
昭和39年(1964年)創業。精密板金加工で培った技術力と知見を生かし、水だけで洗浄できる精密部品洗浄機「VORTENRYU(ボルテンリュウ)」シリーズを開発。
プレス部品や切削・鍛造部品、ゴム部品など幅広い精密部品の洗浄に適したドラム式とバッチ式の洗浄機を展開しています。
所在地 | 本社 長野県岡谷市今井1680-1 神明工場 長野県岡谷市神明町4-5-4 |
---|---|
電話番号 | 本社 0266-22-8866 神明工場 0266-78-3788 |
URL | https://www.hiraide.co.jp/ ※クリックすると公式サイトへ移動します |